つけびの村 高橋ユキさん
つけびして 煙り喜ぶ 田舎者
有名なポスターは犯行予告ではなかったという、ショッキングな内容に惹かれて読み始めました。
ワタルだけが村八分のいじめにあっていたというわけではなく、村に住む誰もが隣り合わせだった?
被害者の2名に放火、刺傷事件、農薬などによる動物殺害の疑惑。
そして10年後じゃないと話せない、警察も知らない事件の真相とは。
読んだ感想。
えー。この村怖すぎる。
両親や祖父母の代からの因縁がまとわりつくのが「田舎」ということなのですね。
そもそも、ワタルの父親の評判が悪かったんです。その背景には本人の言動のみならずワタルの親戚が成功しているという僻みや妬みも見え隠れしていました。
始まりも終わりも噂、噂、噂です。(陰口)
人口が多いと狭いところの噂が全体の意見にはなりづらいけど、この事件が起きた時は12人💦
数人の噂が大きな意味を持ってしまう、世界の全てになってしまうおそろしさ。
報道で被害者の1人がワタルをナイフで刺し怪我を負わせたことがあるというのは知っていましたが…
農薬?を使ってワタルや近隣の家のペットたちが何匹も殺されてしまっているという。
河村さんのお宅もペットが殺されたことがあったり、事件以前に放火されてその犯人も捕まっていないという。しかもその放火の犯人はワタルではないと誰もが口を揃えるなんて。
狭い村だからなの?被害届出さないのね。放火は自作自演なんじゃないかとまで言われた被害者遺族の河村さんの評判も良くなかったようだけど、酷い話。
そして口は災いの元。
被害者の3人の口内が傷つけられていたという記述、読み進むにつれて意味が分かってゾッとしました。噂、です。原因は。
噂が大好きなグループは実はもう1人いて、ワタルの向かいに住む生協の共同購入を取りまとめていた反原発論者という村一番の高学歴女性。
殺された3人は購入品を受け取った後もワタルの近所で立ち話をしてワタルの妄想に油を注いでいく。
ターゲットにされなかったこの高学歴女性は、以前犯人から「俺の悪口言ってないか?」と直接聞かれるも、「言っていない」と答えているんですよね。そりゃそうですよね。
ですがこの方も、後には身を寄せていた息子さんが急逝されていて…
そして被害者遺族でありながら、ワタルの1番の狙いだとか、自慢話するのに役に立たないとか陰口を囁かれていた河村さん。最高裁の判決を待たずにお亡くなりになられ、当の犯人はというと逃避からの妄想の海の中。
犯行時にはワタルが妄想性障害を発症していて、獄中で進行しているということでしたが、結局はどこまでも責任を取らず人のせい。こう言う人間だからこそ「普通」の人がやらないことをしてしまうのですよね。
全て自分の決めたことだと自覚の上の犯行よりも、こちらの方が圧倒的に多いんじゃなかろうか。
だって、○○のせいなんだもんって。
正直、救いようがないという感想でしたが、最高裁の判決でひとつの区切りがついたようです。
一点だけ…取材を受けてくれた人たちを馬鹿にしているのかな?というように感じられる部分が気になりました。人の風貌とか、訛りがきついとか。そんなつもりはないのでしょうが、ご本人が読まれたらショックを受けられるのではないかな。取材を受けなければ良かった、次の取材は受けたくない、と思うんじゃないかな。素人的には気になりました。表現の難しさですね。
産後で大変な時期〜愛猫さんの看病の中、取材から掲載への努力を続けられたノンフィクションルポライターの高橋ユキさん。他の記事もぜひ拝見したいと思いました。
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